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このエッセイは、最初はクレヨンハウスの月刊「音楽広場」に書いたもので、現在は「リトルドッグプレス」のホームページに連載しています。それをこちらでも見られるようにしました。今までおもちゃのついて書かれたものは多く『白木の温もりの手作りのまごころ』のように情に流れるか『○○力を育てるにはこういうおもちゃがいい』式のガイドブックです。そうではなく、きちんとしたおもちゃ批評を確立したいと思っています。
ここは、作品を作る過程で、また、日常の中で思いついたことを、書きとめているページです。また、急ぎの情報などもここで紹介します。
夜、近くの八ヶ岳自然文化園へ。
今日は一日ここで「山の日サミット」というのをやっていて
日中はさまざまなイベントがあったらしい。

夜は敷地の一角の野外劇場で
バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバル・ワールドツァーの上映会。
毎年、カナダのバンフでアウトドアのドキュメンタリー映画のお祭りがあり、
たくさんの新作が披露される。
その中の優秀作だけが「ワールドツアー」として世界に配信される。
今年も秋に日本のあちこちで上映会が開かれる。
 で、今夜はここ八が岳が会場。

 野外劇場は正面にステージがあり、それを半円形にとりまくように
石段がある。
その石段にすわってビールやコーヒーを飲みながら、ステージ上のスクリーンを
上から見下ろす感じ。
 暑くもなく寒くもなくちょうどいい感じ。
映画は短編ばかりで、マウンテンバイク、クライミング、スキー、トレッキングなど
世界中を舞台に行われた冒険の記録。
 アルプスの、どう考えても絶壁としか思えない斜面を
雪崩に追いかけられながらトップスピードでおりるスキーヤーの映像とか
手に汗握るものも多い。

で、よかったのはダニー・マカスキルの最新の映像が見られたこと。
ダニー・マカスキルは自転車の神様。
以前、カナリア諸島の町の屋根の上を自転車ではしりまわって
最後に海にとびこむ映像を見て、ほんとうに驚いたが
今回はスコットランドのいなかを走っていた。
ユーモアもたっぷりで、いい仕上がり。
とにかくごきげんな音楽と映像。
大好きだ。
ぜひ「ダニー・マカスキル」で検索して動画を楽しんでください。
終ったら、10時になっていた。
空には火星が大きく赤い。
もうすぐ、ここで三週間連夜の星空の映画祭も始まる。
清里の野外バレエとあわせて高原は夏本番になる。
なんだかあけてはいけないメールをひとつ
あけてしまったらしい。
 それからというもの、どうでもいいメールがどがちゃか来る。
たぶん金融関係。
同じタイトルだったり、ちょっとづつ変えたりだが
でもとはたぶん同じ。
2日間で600通来た。
今もパソコンをあけるたびに何十という単位で入っている。
大半は自動的に「迷惑メール」の方に振り分けられ、
しぶとく残った数通を自分で「迷惑メール」に入れるだけなので
実害はないが、でもうっとうしい。
 
 それにたまにだが、ほんとに必要なメールを
パソコンが「迷惑メール」にわりふってしまったことがあった。
それがポスターの注文だったこともあった。
だから、迷惑メールでも、完全消去する前にすべてのタイトルに目を通さねばならない。

「初めてのメールは警戒しろ。あけるな」とは言われているが
ぼくのところへは初めての人からよくメールが来る。
読者と言うことも多い。
だから、むげにもできないのだ。
「はじめまして」というタイトルならあけてしまう。

「まみでーす。このまえはおせわになりました。」なんてタイトルだと
なんだか風俗関係のような気もするし、そんな名前の女性は知らないし、
おせわした覚えもないし、
あけようかどうしようか、うーんと悩む。
 でも、もしやと思ってあけてみると、それは先日行った小学校の女生徒で
本の感想が書いてあったりするのだ。←実話

と、こうやって書いている間にも、金融関係の迷惑メールが
ポンポン、自動配信でやってくる。
ああ、いらいらする。
4年に一度のお祭り、サッカーのワールドカップが終わった。
この間、日本チームの評価はころころ変わった。
とくにポーランド戦の最後のろこつな時間稼ぎのところ。
あれは「いい」も「わるい」も見ていた人全員が
なにかひとこと言いたくなったと思う。
「ひきわけねらい」というならまだしも「負けでいい」という選択だ。

ようは「サッカー」という試合と「ワールドカップを勝ち上がる」という試合の
二重構造になっていて、そのどちらを優先するかということだ。
どちらを優先するかで、戦い方が違ってくる。

監督はワールドカップで上に行くことを選んだ。
ポーランド戦は目の前の試合のひとつにすぎないとして捨てた。
だから監督の指示したあの作戦はありだ、という人がいるのはわかる。
その監督の指示を忠実に守った選手もいいのだろう。

でも、ぼくはだめだった。
頭では理解できるが、どうしても美意識がじゃまする。
卑怯ということばが頭をよぎる。
だから、ドーハの悲劇のように勝てないんだとしたら、
ぼくは監督に向いていないんだろうなあ。
だって、最後に「セネガルはコロンビアに勝てない」と読むのがドライすぎる。
他力本願だと思う。
「天は自ら助けるものを助ける」ということばもあるのに。

ただ、プロレス頭で考えると、どんなチャンピオンになりたいかという
イメージも持っていいのかと思う。
チャンピオンには子どもたちのあこがれる正義の味方のチャンピオンと
勝ちゃいいんだよ、反則だってありだよ、イエローカードだって一回ならいいんだよ、
というダーティーチャンピオンがいるのだ。
でも、日本に「ダーティーチャンピオンでいいんだ。そっちをめざせ」という
腹のすわった戦いができるのだろうか?

だから、ベルギー戦は勝ってほしかった。
ポーランド戦では隠したほんとの力を見せるぜ、ということで。
で、さわやかに勝って、世界を納得させてほしかった。
 で、ほんとにいい試合をした。惜しかった。
でも、これもプロレス頭で考えると、いい試合を提供できたなら
両方とも強かったのだからそれでいいとも考えられる。
 つまり、お客がコブラツイストという技が見たいんだとしたら、
どちらかがかける側で、どちらかがかけられる側にならないといけない。
 そのかけられる側になったと考えればいいのだ。
とは思うけれど、勝てば次はブラジル戦だったから、やっぱり惜しかったなあ。
呉の町も豪雨でずいぶん被害が出た。
呉は去年行った。
呉を舞台にしたアニメ映画の「この世界の片隅に」がヒットしたあとだったので
その舞台の場所を尋ねて歩いている人もいた。
確かにアニメと同じ住宅風景があった。
 山が後ろからせまって海沿いの平地を三方からとりかこんでいる地形で
町のはずれは山に向かう急な斜面にはりつく形になる。
土砂崩れもありそうだ。
呉からよそへ行くには海沿いの道をくねくね行くしかない。
その道が崩れたら孤立する。
で、そうなってしまった。
 
去年の呉では軍港内を遊覧船で巡るミニツアーに参加した。
潜水艦だの巡洋艦だのがとまっていて、
自衛隊のOBのおじいさんがマイクで
「あの船は対ミサイル迎撃機能がついている新型です」とか説明してくれた。
 ちようど日が沈むころでラッパ手が吹くラッパに合わせて
ビルのような駆逐艦の艦橋で、かかげた日の丸をとりこむセレモニーをやっていた。
 手を振ると若い自衛官が手をふりかえしてくれた。
国を守ることを仕事とした人たちが働く様子を
守られる側が大勢で観光として見るわけで、奇妙な距離感があって
おもはゆかった。
 だが、それはそれとして、国防でもなんでも
やはり直接見るものだと思った。
 具体的にイメージできる。
 
太平洋戦争で死んだ人は厚生省発表で310万人となっている。
そのうち軍人に限ると230万人だ。
 その軍人の死に方を調べていくと、戦死よりも餓死・病死の方が多くてやりきれないが、
もうひとつ、海没死が異様に多いのもつらい。
 戦地に向かう途中で潜水艦などに沈められて溺死した兵が
最大40万人近いという推定もある。
 護衛なしで敵水域を航行させた上部の無責任な判断のせいというしかないが、
夜の海に投げ出される一人一人の無念と恐怖に思いをはせるとたまらなくなる。

 で、そういう戦争のこわさと、兵は危険な任務についているという当たり前のことが
軍艦を直接見ると肌で感じられる。
桟橋沿いの戦艦大和ミュージアムとあわせて、このツアーは
呉に行った人にはおすすめ。
 豪雨被害の復興がすすみますように。
西日本の豪雨の死者が200人を越えたとのこと。
地震でも台風でもなく、雨でこれだけの
被害が出るなんて…。
そのあとの異常な暑さとあわせて
なんでこんなことに? という思いが強い。

高梨川が決壊した真備町は2回行ったことがある。
最近は2年前に、山陽道をてくてく歩いた時に通った。
長い橋を渡った。
たしかに堤防より低い町だった。
真備(まび)町と読むが、吉備真備(きびのまきび)の出たところで
「吉備真備」という名の駅があるのに驚いた。
吉備真備の資料館があって、これは寄り道した。
あと、横溝正史の家がある。
八つ墓村とか悪魔のてまり歌とか本陣殺人事件とかの
舞台はこのあたりということで、
金田一耕助が歩いた道というのがあった。
これで向こうから
腰の曲がったおばあさんが
「おりんでございます」なんていいながら歩いてきたら
ふるえあがるけれど、
実際は小説よりもっと明るい雰囲気のところだった。
あの町で、この暑さの中で、水が出ないところで
泥と格闘している人がいると思うと
うまくことばが出なくなる。
5月6月くらいから、プークのものがたりライブ7デイズのチラシをあちこちで
配っていただいています。
置いていただいているお店もありますし、
サークルで会報の送付時に同封してくださったところもあります。
みなさん、ありがとうございます。
おかげさまで大量に用意したチラシも残り300枚くらいになりました。
 で、自分でお願いできるところはすべて
お願いしたつもりでいて、もう思いつきません。
でも、残り300枚をこのまま、朽ちさせてしまうのは
もったいないです。
というわけで、それならまだなにかの集まりで配れるとか
うちでひきうけるとか、いうことがありましたら
ぜひ、メールをおたより欄からください。
10枚でも20枚でも100枚でも、すぐに送らせていただきますので。

おかげさまで申し込みは順調にいただいていて、「あと少し」マークがついた回も
いくつかあります。
どこかの日に行こうと考えていて、まだ申し込んでいない方は
このホームページの特設欄の「申し込みフォーム」をあけて
ご確認ください。
でも、「ここはもう少し来てほしいなあ」という回もあります。
 大人と子どもがいっしょにものがたりを楽しむ会を作ろう!という
志だけは高くかかげています。
 どうぞ、ご協力をよろしくお願いします。
朝のあずさで東京へ。
来月のものがたりライブについてのうちあわせ。
新宿プーク人形劇場でものがたりライブ7デイズで
制作部をやってくれているTさんと待ち合わせ。
ちなみに制作部はTさんとKさんとNさんの3人で
分担してやってくれている。
ただし、KさんとNさんはふだんは地方にいるので
ちょっとした打ち合わせはTさんが出てきてくれる。

そこにプークの演出担当のWさんが加わって
3人でなんだかんだと
今度のライブについて話す。
もう、毎年のことなのでたいていは
「去年と同じでいいですね」の一言ですむが
それでもなんだかんだある。

ちなみにものがたりライブ7デイズは8月2日〜8日だが
ぼくに本丸を明け渡した人形劇団プークはその間、
新宿紀伊国屋の紀伊国屋ホールで
人形劇「エルマーの冒険」をやっている。
8月2日〜5日 各日10時半からの部と14時からの部があり。

で、スペシャル企画として
「ルース・ガネットさんを囲むパネルディスカッション」が
4日の夜18時から同じ場所である。
エルマーの作者。今、94歳だって。
エルマーにおせわになったという人は大人も子どもも多いのでは。
定員400人。
これは夜だから行かれる。というわけで、ぼくも
制作部のみなさんといっしょに申し込んでもらった。
よろしかったらみなさんも、ものがたりライブとくみあわせて
おでかけください。
参加費2500円 サイン本つきチケット3796円。
申し込みはプーク(電話0333703371)か、紀伊国屋のチケットオンライン。
「耳なし芳一」と並んで、今度のプークでやろうと
思っているのが「安寿と厨子王」。
 年配の人なら知らない人はいない。
東映が漫画映画にしたくらい。
ぼくも劇場で見た。
ただし、今、小学校で「知ってる人?」と訊いたら
限りなくゼロに近いだろう。

厳密にいうと「安寿と厨子王」は初演ではなく、二年前のプークで一度
やらせてもらった。
 ただ、そのときはかなり即興的にまとめたので
もう少し練りたい。
 一般的にこの話の主人公はタイトルにある通り、
2人の幼い姉弟と思われている。
ただし、森鴎外は悪役の方の名をとり「山椒太夫」とした。
 でも、ぼくはこの話のほんとうの主人公はまた
別にいると思う。
新しい解釈で、隠れていた主人公が最後に
立ちあがってくるような話にしてみたい。
 これはぼくにとっても大事な演目になりそう。
古い説話に新しい光をあてるのは楽しい。
お楽しみに。

草刈りをする。
もう少しで終わるというところで
夕立になり、家に逃げ込む。そのまま、夜も強い雨。
もう一日、やらなければ。
早朝、まだ暗いうちに宿の露天風呂へ。
目の前の浅間山は今日は雲の中。
他の客はおらず、聞こえるのは鳥の声だけで無念無想の境地。

今年はおばけ話の新作として「耳なし芳一」をするつもり。
この話は小泉八雲のが有名だが、あれはもともとあった説話をもとに
小泉八雲が書いた話だから、それを気にせず誰が自分流に語ってもいい。

 それに書いた話と語る話はおのずから違う。
たとえば、この話のひとつの肝は目の見えない芳一のところに近づいて来る
よろい武者の足音のはずだ。
 本では出てこないが、語りならここは「牡丹燈篭」のカランコロンの
下駄の音よろしく、「来るぞ来るぞ、なにか不吉なものが来るぞ」と
聞き手を不安に誘い込まなければおもしろくない。
実は先代の林家正蔵の「耳なし芳一」もCDで聞いたが
ただ
すじを語っているだけで、申し訳ないが工夫を感じなかった。

 風呂から出て、小泉八雲が説明できていない不合理な点を書きだした。
たとえば「なぜ、和尚さんは芳一を寺から逃がそうとしなかったのか」
「なぜ、体に経文を書くなどという妙なことをしたのか」
「なぜ、耳だけ書き忘れたのか」
そういうことに納得のいく解釈をして
自分なりの「耳なし芳一」にしてみたいと思う。

プークのどこかの日に、会場を暗くして語ります。
おばけ話は今年はたぶん、これひとつ。
とんち話とは別に、今年の目玉ということでお楽しみに。

宿を出て小淵沢の家へ。
夕方、草刈りをする。
新宿プークでのものがたりライブが
来月にせまってきて、信州のひなびた温泉宿にやってきた。
恒例の一人強化合宿。
語りたい話のタイトルリストを作り、ひとつひとつ吟味していく。
「すじはおもしろいのに結末にひねりがなくて拍子抜け」とか
「部分的にきれいな景色だけれどそれだけ」とか
「短すぎる」とかいろいろチェックを入れて行く。
で、とにかく口にのせてみる。

とんち話は大岡越前の話が多くなる。
たぶん、すべての回にひとつ入るかも。
いろいろやるので、いろいろ聞きたい人は何回も来てください。
大岡裁きは大好きだ。
ただ、「三方一両損」は有名な話だが理に勝ちすぎている。
大岡さまの「してやったり」という感じが見えて
これはやめておこう。
 二人の母親が一人の娘をひっぱりあう話もよく知られているが
そういう解決法でいいのかなあ?
これもやめておこう。
 会話でなく、地の文が多い話はパソコンに打ってみる。
熟語はなるべくやまとことばに直す。
昔は「関係」なんてことばは使わない。「かかわり」だ。
「現在」なんていわない。「いま」だろう。
ただ「証拠」は使ったかなあ? 「あかし」かなあ?
「アリバイ」は日本語がない。

で、時折、露天風呂につかり、本を読み、またしゃべってみる。
テレビのニュースは西日本の豪雨のことをずっとやっている。
台風でも地震でもなく、雨だけなのにこんな大惨事になるなんて…
「山本光洋」と書いて「やまもとこうよう」と読みます。
この世界では知らない人はいない、今の日本を代表するパントマイミストです。
ぶっとんだ爆笑物から詩情漂うドラマチックなものまで
路上からステージまで、守備範囲は幅広く、
そのどの演目にも光洋さんならではの味付けがなされています。
中でも「あやつり人形のチャーリー山本」は一度見たら忘れられない楽しさです。
ぜひ、親子でおでかけください。
見終わった子どもたちはみな、あやつり人形のまねをして歩きだすでしょう。

光洋さんとのおつきあいもずいぶん古いです。
今まで何回も
ものがたりライブのゲストに来てくださいとお願いしていたのですが
なかなかスケジュールが合わず、今回も
同じ期間に長野県の飯田で開かれている「飯田人形劇フェスタ」の出番を終えて、
こちらの最終日にかけつけてくれることになりました。
 この貴重な機会に日本のマイムの最前線の仕事をご覧ください。
松本一郎さんとはずいぶん古いおつきあいです。
一郎さんはキミコ方式絵画教室の講師です。
キミコ方式は赤青黄の三原色と白だけあれば
すべての絵が描けますよと、始まった、絵の描き方の
画期的な指導法です。
 「絵というのはうまい人が描くものです」という、それまでの
きゅうくつなイメージを打ち破って、誰でも絵を楽しめるようになるには
どうすればいいのかという理念と、その理念にそった技術が一体になった
絵の描き方の指導法でもあります。

そのキミコ方式の教室で最初にするのが「色つくり」という時間で
三原色をまぜて自分で自由に色を作っていきます。
その色つくりを一郎さんはステージでしてみせます。

ずいぶん昔、おもちゃばこフォーラムのステージでキャンバスに絵の具で
やってくれましたが、このパフォーマンスがとても楽しいのです。
 まだ、ジャンルの確定しない新しい娯楽が生まれる瞬間に
立ち会っているような、不思議なおもしろさです。
決まりきっていない、そういう世界が好きだという方
どうぞ、おでかけください。
もしかすると、ひさしぶりに絵筆が持ちたくなるかもしれません。
清水真砂子さんは「ゲド戦記」を始めとする児童書の翻訳者として、
また児童文学の批評家・研究家として、すぐれた実績をあげてこられました。
ぼくが「子どもの本の現在」を初めて読んだのはもう30年以上前ですが
それまでの児童文学評論が、ただ、作者の子どもへの愛情だの
ひたむきな心だのの抽象的な言い回しでほめるしかなかったのに対し、
灰谷健次郎や松谷みよ子の著作を自分も血を流しつつ、いっぱいいっぱいの
ことばを選びながら、しかし仮借なくシャープに切り開いていった
清水さんの文に、これこそ本当の評論というものだと胸が熱くなったものです。

 その清水さんは長年、青山女子短大の教授でもあり、学生の指導にあたってこられました。
ぼくが毎年秋に青学に泊まりこんで4日間の
集中講義をしているのも、尊敬する清水さんに「学生たちに遊びを教えてほしい」と
直接頼まれたからです。
そうでなければ、ずぼらなぼくは、そんな責任のある仕事はひきうけませんでした。

さて今回はプークでご自分が好きな子どもの本について語っていただきます。
 「謦咳に接する」ということばがありますが、どうぞ、謦咳に接しにいらしてください。
児童文学の大海を泳いできた先駆者の、珠玉のことばをいっしょにうかがいましょう。 
8月5日は日曜日。
ぜひ、家族みんなでおでかけください。
マジックがあります。
なにもないはずのハンカチからなにかでてきたり、
あったはずのものが消えてしまったり、
そのたびに子どもたちはびっくりして歓声をあげます。
 その子どものびっくりする顔を横で見るためだけに
連れて来る価値があるくらい。

 ナマでプロのマジックを見る機会は今、ほんとうに少なくなりました。
でも、子どもたちにはたくさんびっくりしてもらって
「世界は不思議でいっぱいだあー」とわくわくしながら
大きくなってもらいたい。
 そんな貴重な場にぜひ、子どもたちを連れてきてください。
 運が良ければ、助手のロッキー君の人体切断と復活も見られるかも!
大人もきっとドキドキします。

渡辺さんとももう何十年も前からのおつきあい。
おもちゃばこフォーラムのステージにも何度も立っていただいています。
初めてロッキー君のショーをやってもらったときの会場中の爆笑が今でも忘れられません。
井崎哲也さんは、トット基金・日本ろう者劇団の看板俳優で、NHKの手話講座の
講師もつとめています。
 今回、演じてくれるのはサインマイムです。
パントマイムが体全体で演じるのに対し、サインマイムは体の前で
指先でさまざまなことを見せていきます。
 たとえば、パントマイムでは歩く演技は全身で歩くふりをしますが
サインマイムでは人差し指と中指を下に向けて交互に前に出します。
それで「007」であったり「決戦、巌流島」であったり、
エンターティメントな芝居を演じていきます。
 「007」ではジェームスボンドが敵とカーチェイスをし、バンバン打ちあい、
あいまに金髪のおねえちゃんとイチャイチャするストーリーを
しっかり、指先だけで表現して、
信じられないことにぼくたちはそれで大笑いできるのです。
 そんな…と思う方はぜひ、プークへどうぞ。
数年前の明治安田生命ホールでのものがたりライブの時も
ゲストに来ていただきましたが、プークはそれより小さい会場なので
サインマイムの世界を、より近くで楽しめると思います。

 また、ろうの人への拍手のしかたがあるのをご存知でしょうか?
早く常識になるといいなと思いますが、それもちゃんと先にレクチャーします。
手で音をだす拍手より、うんとはなやかな拍手です。
とくに子どもたちに教えてあげたい。ぜひ、親子でおでかけください。

ぼくと井崎さんの出会いもとても古いです。
ステージを見に行きました。
当時、まだ、ろうの人の芝居と言うと
なにか障がいを持っている人ががんばっているんだろうな、
メッセージを聞かされるんだろうな、とステレオタイプで
考えてかまえていたところへ、
底抜けに明るい娯楽大作を見せられて、なんと自分がワンパターンで
ものごとを考えていたことよと、視野の狭さをただされる思いがしたものです。






 大会場向きではなく、プークのような小さい空間で見るのが最良です。
8月3日はおはなし劇場エパットを主催する尾崎富美子さんがゲストです。
エプロンシアターを見せてくれます。
エプロンシアターは、大人が大きなエプロンを胸からかけて
そのエプロンを舞台にしてする人形劇です。
うらにマジックテープがついた人形がポケットから出てきて
エプロンのあちこちにはりついていきます。
話によってはエプロンの方にさまざまな仕掛けがされます。
 幼稚園・保育園で演じられることが多いです。
中には「かわいいのがいい」という世界から出られないものもありますが、
尾崎さんのエプロンシアターは一味違います。

またパネルシアターやふつうの人形劇では演者はそんなに正面に出るものでもなく、
人形劇では黒子に徹して顔すら見せないケースもありますが
エプロンシアターでは演者は中央に立って語りながら
自分の胸からおなかあたりにはりついている人形を動かすので、
客は舞台のエプロンと演者の表情と両方見ることになります。
 そこがエプロンシアターの独特なところで、お話と語り手が
渾然一体となって進んでいきます。 

幼稚園に子どもを通わせている親くらいしかあまり見る機会のない
エプロンシアターの楽しい作品を、今回見せていただきます。
見たことない人はぜひどうぞ。
きつと、「私もやってみたい」という人が出てくるはずです。

尾崎さんとはずいぶん以前におもちゃばこフォーラムに来ていただいて以来、
もうン十年か前からのおつきあいです。
 見るからにエプロンが似合いそうなやさしいおかあさんです。 
川端さんは絵本作家であり、ステージで自作絵本の開き読みもします。
 どんないい絵本も、人の目にふれなければ
「いい」も「わるい」もなにも始まりません。
 川端さんが絵本を読むのを聞いていると、「絵本を読むのは技術ではないなあ」と
つくづく思います。
つい、息継ぎがどうの、発声がどうの、とそういうことばかり、気にする人が
います。
技術論は意味がないわけではないし、何番目かには大事なことです。
でも、一番大事なのは、好きな人に読んでもらっているこの時間にいるという
喜びです。
子どもは親に読んでもらいたがるけれど、親の発声だの息継ぎだのに
注文をつける子はいないし、親もそんなことに気をつかってはいません。
でも、絵本をまんなかにとてもいい時間が流れます。

 川端さんは自然体で、「みなさん、自分は敵ではありません」という
やさしいオーラをだしながら、ゆっくりページをめくってくれます。
このオーラが誰でもだせるものではないんですよ。
でもそのオーラの裏に、絵本一冊で会場のすべての人を
自分の世界で楽しませるぞという気あいが隠れています。
達意の絵本の開き読みをどうぞ。
 8月2日にプークに来た人はそれが聞かれます。

ちなみに川端さんとぼくはいっしょに山登りをする仲です。
今までボルネオ島のキナバル山、ニュージーランドのミルフォードトラック、
アフリカのキリマンジャロにでかけ、二人とも高山病に負けず、てっぺんまで行っています。
ものがたりライブ7デイズまで
あとちょうど一か月になり、申し込みが始まりました。
この日記を見てくれている人は
すでに目に入っていると思いますが
このホームページの上にある
特設バナーをクリックして、中の申し込みフォームから
申し込みができるようになっています。
 昨年よりさらに扱いやすくなっています。

で、今回のものがたりライブはどの回にも必ずひとつは
とんち話が入るようになっています。
 明るく、かつ「なるほど!うまい!」と、みんなが膝をたたきたくなるような
とんち話を集めます。
 あとは日によって、おばけ話が入ったり、探偵話が入ったり、
そのあたりは当日のお楽しみとお考えください。
 昨年同様、一番お客が少ない回に、くさい話特集をします。
「みそもらい」とか「肥後のソーメンばあさん」とかに当たった人は、
すみませんが、あきらめておつきあいください。

また、どの日に行こうかをゲストで決めようと考えている方、
この日記で、明日からゲストの紹介を書いていきます。
参考にしてください。
新宿プークでのものがたりライブ7デイズの話。
 ありがたいことに「チラシを送ってください。配ります」というメールを
大勢の人からいただいている。
「子どもとものがたりの関係を考えたとき、今、必要なのは語り手より広め手」との
メッセージに共鳴しました、といったコメントをつけて
「チラシ送れコール」は昨年、一昨年よりずっと増えている。
嬉しい。

で、いよいよ明日からプークの申し込み受け付けが始まる。
こういうステージを何回やっても、人がどれくらい来てくれるのかは
猿のおしっこと同じで、きにかかる。
 願わくば、やきもきしないですむ程度に申し込みがトントントンと
ありますように。
お待ちしています。