相撲はなかなか大変

うちでテレビを見ることはないけれど、旅先では
ホテルの部屋にあるので、つい、つけてしまう。
今回の旅の間のテレビの話題はずっと、
すもうの巡業で起きた事件だった。

巡業先の市長さんがあいさつのために土俵に上がったところで
突然倒れた。
 数人の男たちがあがったが、どうすることもできない。
すると看護師の女性があがって心臓マッサージを開始した。
そこに「女性は土俵からおりてください」とアナウンスが流れたという事件。
すべての女性が憤激するのは当然だと思う。
なにも、そこで男に交じってすもうを取らせろと言っているのではないのだし。
「日本は女性を差別する国だ」というニュースが
世界中に流れたらしい。

で、もちろん女性差別なのだけれど、問題の本質は
そこではないように思う。
 自分でものごとを考えるというトレーニングがされてこないまま、
大人になってしまう人があまりに多い、この国という問題。
 アナウンスした人だって「人命としきたりとどっちが大事だ?」と
きかれれば、それは人命と答えたと思う。
 緊急順不同ということはあるのだ。
でも、上から「放送しろ」といわれて、なにも考えずに放送してしまったのだろう。
つまり、自分の仕事と責任に無自覚なのだ。

もうひとつは「しきたり、しきたり」というけれど
「良いしきたりだから守る」というなら、
同時に「悪いしきたりは変える」という義務も発生するということ。
でなければ、歴史はよい方向に進んでいかない。
 「悪いと承知しつつ、しきたりだから守る」というのはっきり言って
「私はなにも考えていません。からっぽです」といっているのと同じ。
自分は考えずに、しきたりのせいにしてしまうのはだめ。
「前例がないのでだめです」という言い方と同じだ。

それにしても、相撲の世界はどうしてここまでだめになったんだろう?
野球もサッカーもテレビ中継がなくても
毎試合何万人、何千人のお客を集めているのに
すもうはNHKが放送しなくなったら、それで終わりではないだろうか。
スターもいないし、話題になるのは内紛ばかりだし。
本来、とても華やかで、いい世界で好きなのだけれど。