四時過ぎにみな起きだしてがさごそと荷造り。
五時朝食。
順次スタート。
天気予報は二日と四日が悪く、今日だけが
少しいいことになっていたのに
朝からザーザー降っている。
気持ちは萎えるが、夕べは星も出ていたし
これは一時のことだろう。
せっかく乾燥させた雨具をまた着て
五時40分出発。
上高地が標高1500メートルでここが1820.
昨日5時間も歩いたのに高度は稼げていない。
で今日は3180の槍の穂をめざすのでほんとに心して行かないと。
森の中を抜けて天場から槍沢の左岸を歩くようになる。
雪渓で有名なところだが、さすがに今はもうない。
でも、いい塩梅に1時間ほどで雨はあがった。
雨具を脱いで涼しくなって助かった。
いくつか沢をわたり、次第に急になり
木がなくなり、ハイマツになる。
岩だらけの斜面を白ペンキの〇を頼りに高度をあげていく。
ガスで槍の穂は見えない。
「槍ヶ岳山荘まであと1000メートル」の表示あたりで、ばててくる。
表示は100メートルごとに出てきてそれを励みに登っていくが
「あと200メートル」が一気に登れない。
なんと小屋も目前のあと50メートルくらいのところでも
ザックをおろして休む。
ひどいものだ。
雨が上がっていたから助かったが
大雨に打たれていたらすわることもできず
相当のピンチだった。
それでもお昼に山荘到着。
ここはもう標高3000メートルだ。
宿泊の手続きをする。
朝、もらった弁当を食べ、もう一度外に出たところで
さっと風が吹き、一瞬あたりの霧が晴れる。
と目の前にドーンと槍の穂先と豆粒のように
はりついて上り下りしている人たちが見える。
その場にいた人たちから大きな歓声。
テンションが上がってさっそく空身で山頂をめざす。
ここからは完全に岩登り。
三点確保を自分に言い聞かせて、てがかり足がかりをさがして
身体を上に持ち上げていく。
絶対無理なところにははしごやくさりもある。
どう考えても落ちれば死ぬからこわい。
最後に長いはしごを二本登り、てっぺんに立つ。
いやー、着いた着いた。
五分に一回くらい、ほんの何秒か霧が晴れる。
下に小槍と山荘が見える。
晴れれば展望はすばらしいだろうが
今、雨にあたらずに山頂にいるだけで十分ラッキーだ。
で、もっとこわい下り。
なんとか下りきって山荘へ。
ヘルメットをかぶり、ザイルでつながって登る人も多かった。
さすがに天下の槍ヶ岳の肩だから人も多い。
たいていの人は外でときどき霧が晴れて槍が見えるのを
カメラを持って待っている。
慣れてる人は中でビールを飲んでいるが。
夕方、突然どしゃぶりになる。
山頂で雨に打たれた人たちがぐしょぬれになって戻ってくる。
こわかったろうと思う。
ほんとに山の天気はわからない。
五時。夕食。八時半消灯。
となりの人のいびきがすごい。
ともあれ、雨と雨との間の晴れた半日に
登頂できて満足。
明日の予報も雨だが、下るだけだからなんでもいい。