清水真砂子さんは「ゲド戦記」を始めとする児童書の翻訳者として、
また児童文学の批評家・研究家として、すぐれた実績をあげてこられました。
ぼくが「子どもの本の現在」を初めて読んだのはもう30年以上前ですが
それまでの児童文学評論が、ただ、作者の子どもへの愛情だの
ひたむきな心だのの抽象的な言い回しでほめるしかなかったのに対し、
灰谷健次郎や松谷みよ子の著作を自分も血を流しつつ、いっぱいいっぱいの
ことばを選びながら、しかし仮借なくシャープに切り開いていった
清水さんの文に、これこそ本当の評論というものだと胸が熱くなったものです。
その清水さんは長年、青山女子短大の教授でもあり、学生の指導にあたってこられました。
ぼくが毎年秋に青学に泊まりこんで4日間の
集中講義をしているのも、尊敬する清水さんに「学生たちに遊びを教えてほしい」と
直接頼まれたからです。
そうでなければ、ずぼらなぼくは、そんな責任のある仕事はひきうけませんでした。
さて今回はプークでご自分が好きな子どもの本について語っていただきます。
「謦咳に接する」ということばがありますが、どうぞ、謦咳に接しにいらしてください。
児童文学の大海を泳いできた先駆者の、珠玉のことばをいっしょにうかがいましょう。