蛇柳

今年の夏は豪雨に始まり、日照りが続き、台風が来て、地震が来て…。
荒れた夏だった。

 うちの方、高原はそばの白い花が咲き、コスモスが咲き、
ようやく秋になった。
この土日は近所のあちこちでいろいろなイベントが開かれる。
とはいえ、さわやかに晴れたわけではなく、しばらくは長雨が続くらしい。

 今日と明日、近くのみそぎ神社の能楽殿で市川海老蔵の歌舞伎がある。
チケットを買っておいたので、夕方出かけて行く。
開場の時は小雨だったが海老蔵が出てくると同時に晴れ、
雨具はいらなくなる。
1000人以上の人で満員。
 池をはさんだ舞台で海老蔵の「蛇柳(じゃやなぎ)」。
歌舞伎十八番のひとつだが、ずっと絶えていたものを
今回復活させたという演目。当然、初めて見る。
 海老蔵の三役早変わり。
 人も少なくセットも少なく、地方をもってまわるには
ぴったりの演目。
「茨木」の鬼が蛇に変わったような話。
ただ、シンプルな話なので、
歌舞伎座なら三本立てのうちの一本ということでいいけれど、
これ一本だけなのでちょっとものたりない気もした。
 とはいえ、うちから車で5分のところで
かがり火をたいた幽玄な雰囲気の中で
歌舞伎が見られるのだから幸せなこと。

 どこかの企画会社のプロデュースらしく
黒のスーツの若い男女が大勢、受付や会場整理にあたっている。
ただ、てきぱきしているけれど、言い方がいんぎん無礼で命令口調。
お金を払っているお客へのいたわりや感謝も感じないし、
海老蔵や歌舞伎への愛や尊敬も感じない。
ほんとに仕事としてこなしていて、
スタッフが感じ悪いことが結果として
海老蔵ファンを減らすことにつながるとまでは
考えていないんだろうなあ。
 プークでの、ものがたりライブの
スタッフはほんとにできてる、と改めて思う。

帰ってきて一時間後、ザーザー降りになる。
海老蔵、運が強い。