駒の湯滞在

夜はすることがないので
みな長湯の後、寝るしかない。
9時にはふとんに入る。
で、朝は早く目が覚めるので
6時には風呂に行く。
露天。
それでも泊まり客が
けっこう入っている。
目の前にはまだ融けない雪の塊があちこちにある。
気合で裸になる感じ。
いい天気で目の前には
またまっ白い雪をぶ厚くまとった
越後駒ケ岳がデーンとある。

で、8時に朝食でまた風呂。
大人はそれでいいが、さすがに紅が退屈してぐずりだすので、
お昼は小出の町まで出る。
名物のへぎそば。おいしい。

午後また風呂。
夕飯。
夜、暗くなった後は部屋の囲炉裏に炭をおこして
紅を相手に昔話の語りをする。
 絵本も持ってきたが、絵も字も見えないし、
おもちゃも暗すぎて遊べない。
話しかない。

囲炉裏の火は想像以上に暗い。
これでランプが上にぶらさがっているから
なんとか向こう側の相手の顔が見えるが、
炭火だけでは互いの顔も暗闇の中だ。
 おそらく、おばあさんが夜なべ仕事をしながら、昔話を
語ってくれたというのは、明かりがなんとんかなった明治以降で
江戸期の農村では暗くなったら寝るしかなかったろう。
 で、囲炉裏ばたで夜に語るのは
はじめてで、リアリティのあるいい体験をした。
 自分の背中が闇にとけこむ状態では
おばけ話はほんとにこわい。