晴れ。暖かい。
ホテルはドナウ川沿いにある。
早朝、一人で散歩。
岩城さんとホテルでは互いに1人部屋にしている。
ちょっとぜいたくだが、日中はずっといっしょだから
このほうがメリハリがあっていい。
ブダペストはドナウ川をはさんだブダの町とペストの町が
合体してできた都市。
ホテルはブダ側にある。
朝食後、バスでブダの丘の上のマーチャーシュ教会へ。
外も内部もすばらしい。
内部見学は1500フォリントで高い設定だが、教会の内部の
装飾のすばらしさはやはり見ておかないと。
その横の漁夫の砦からはドナウ川と、対岸のペストの町。
間をつなぐエリザベート橋、くさり橋がよく見える。
みやげものやではハンガリー名物の刺繍をいろいろ売っている。
手描きの飾り皿を一枚買う。
お昼はペストの町のどまんなかの
広場に面したカフェ「ジェルボー」本店。
これは行く前から楽しみにしていた。
100年前からあって、
とてつもなく上品でおいしいケーキにしびれた
エリザベート王妃がかよったというカフェ。
食事の後、その濃厚なチョコケーキが出てきた。
「ジェルボー」は青山の表参道に支店がある。
今度行こう。
そこからまた自由行動になる。
ほとんどの人は添乗員さんといっしょにバスで
郊外の寺院に行くが、ぼくと岩城さんはまた二人。
まず岩城さんの希望でオペラ座へ。
2時から約40分の内部見学ツアーがあって参加。
早口の英語でほとんど聞き取れないが
建物内部の装飾を見ていればいいので問題なし。
そのあと、女性歌手が二人出てきてアリアを歌ってくれる。
最前列の2メートルの距離で聞けて幸せ。
と思っていたら、最後は「乾杯の唄」で
なんとぼくのとなりにいた岩城さんがひっぱりだされて
歌手と踊らされた。
あぶない! 指名されなくてよかったあ。
しかし、こういうとき、日本人はもじもじして
全体の空気をこわしたり、演者をこまらせるが
さすがに岩城さんは堂々と応じてえらかった。
続いて聖イシュトバーン大聖堂に入り、
地下鉄に二駅乗って市場へ。
切符の買い方がチェコとはまた違うが
現地のガイドさんから買い方をバスの中で聞いたので
問題なかった。
市場は巨大な体育館のような空間で
一階が食料品、二階が工芸品と衣料品。
どこの国でも市場は楽しいから、ぐるぐる回る。
そのあと、これも岩城さんの希望で木のおもちゃの専門店へ。
ここでもスマホの地図と道案内が役立つ。
吉祥寺のニキティキや小淵沢のイカロスのような店。
そこをおもちゃ専門店キッズいわきの社長の岩城さんの
解説付きで見られるわけだから、ぜいたく。
岩城さんも「これは日本の方が安い」とか
「こんなのがあるのか」とかいろいろ言って喜んでいる。
さらに帰り道、図書館を見つけた。
入ってみようということになる。
ただし、入るにはまずロッカーに荷物を預けなければならない。
そのロッカーの使い方に二人ですったもんだ。
そのあと、バーを押して中に入るのに
会員証のようなものがいるらしい。
これはだめだと思ったら、見かねた親切なおばさんが
係の人にはかってくれ、「ジャストルッキング」ということで
特別に入れてもらえた。
8階だてのビルがすべて図書館で、二階の絵本コーナーだけ
行く。
しばらく見ていたら司書さんが話しかけてきたので
岩城さんがぼくを「ジャパニーズライター。アドベンチャーノベル
フォアチルドレン」と紹介。
このさい、ぼくがおうようにうなずいていると
「オオー」とか驚いてくれて、日本の絵本をもちだしてきた。
美智子さんの「初めての山登り」。
「シー イズ ジャパニーズ エンペラーズ ワイフ」と
説明したけど信じてくれただろうか?
にわかには信じられないかも。
日本の絵本はそれしかなかった。
行きは地下鉄で来たので今度はトラムで集合場所に戻る。
バス組と合流してビアホールで夕食。
そのあと9時からドナウ川のナイトクルーズということで
船着き場へ。
ドナウ川ということばの響きだけでなぜかジーンとくるが、
ライトアップされた王宮や国会議事堂を見ながら
一時間の船旅をする。
ライトアップはどこも、
日本のような赤青黄色のコテコテ感はなく
電球本来の明るいオレンジ色一食。美しい。
ホテルに戻ったのは10時半。
今日も長い一日。寝るのみ。