今年の十大ニュース続き

3位 12月の天皇誕生日の前日に行われた天皇の会見。
   今まで政治家や官僚の会見で心をうたれた記憶はないが
  天皇が時に声をつまらせながら語る場面に驚かされた。
  まず平成と言う時代が戦争がないまま終われそうなことを
  喜び、ついで沖縄と災害にふれ、一転して皇后の美智子さまに
  謝意をしめす。
  すべてのことに過不足なくふれたみごとな会見だった。
  宮内庁が書いたにしても天皇自身の意向が強く入っているのは
  まちがいないだろう。
  これは政治や経済の良しあしとはまったく別の次元だが
  現在の天皇は憲法下できちんと自分の役割を担った
  よい天皇だったとここに来て改めて気づかされたりする。
  まったく若い頃のぼくの皇室観は一面的なものだった。
  引退はとてもいい選択だ。
  そのあとは世間のおじいちゃんおばあちゃんと
  同じようにゆっくりしていただきたい。

2位 10月に読んだこうの史代の「夕凪の街 桜の国」。
  今年もたくさんの本を読んだがこれがベスト。短い漫画。
  こうの史代は「この世界の片隅で」が大当たりしたが
  これはその前、2004年の作品で、たまたまぼくが古本屋で見つけて
  読んだのが今年だったというに過ぎないのだが。
  主人公は広島に住むチャーミングな若い女性でその恋や暮らしの話。
  だがラスト3ページの白抜きのコマと
  鬼気迫るほど選び抜かれたことばの流れには三嘆するしかなかった。

1位 9月に清里で見た移動プラネタリウム。
  甲府に「星つむぎの会」というのがあって、代表の高橋真理子さんと
  跡部浩一さんはぼくのものがたりライブに何度も来てくれて親しい人。
  高橋さんには「人はなぜ星を見上げるのか」というとてもいいタイトルの
  著書もある。
  その星つむぎの会では空気を入れてふくらますエアードーム式の
  定員20人の移動プラネタリウムを持っていて、全国の病院や
  小児科病棟に行ったり、在宅患者の家の天井に星空を投影する
  などの活動をしている。
  その移動プラネタリウムの日が一般用に清里であったので行った。
  いいなあ。星を見ていると地上のいさかいがほんとに小さなことに
  思えてくる。
  人はときどき星を見上げて、もっと遠いものに思いを馳せるべきだと
  ほんとに思わされる。
  ちなみに移動プラネタリウムは大人と子どものために様々な
  イベントにお勧めです。

そのほかにも今年もたくさんのことに心を動かされた。
8月のおもちゃばこフォーラムの会場を飾ったいなずみくみこさんの
廃物アート、3月にプラハで見た精緻なボヘミアングラス、9月に
奥秩父の金峰山の頂上から見た南アルプスの眺望その他。
 なんだかんだで今年も終わる。
みなさん、よいお年を。