ぼくは中東の景色を完全に勘違いしていた。
砂漠であれ荒れ地であれ、とにかく平らなつもりでいた。
だがオマーンには山脈がある。
それも最高峰は3000メートルを越える。北アルプス並みだ。
朝、ニズワのホテルをバスで出て、小一時間走ったところで
待機していた4駆に乗り換える。
5台のトヨタのランクルに4人づつ乗る。
ちなみにオマーンでは圧倒的に日本車が強い。
トヨタ、ニッサン、ホンダ、スズキ、スバル、マツダ。
すれちがうのは日本車ばかりだ。
で、ディスターシャという足首まであるワンピースのような
白い服にコンマというトルコ帽のような帽子の、伝統的な服の
おにいさんがサンダルで運転して坂道をあがっていく。
途中は未舗装の道が多く、砂ぼこりでなかなか大変。
標高2000メートルを越えたあたりで下車。
眼下に大峡谷が見渡せる。1000メートル以上切れ落ちているとのこと。
山に草も木も全くないので断層がはっきり見える。
地学が好きな人には、オマーンは地球の標本のようで
たまらない場所なのだそうだ。
確かにそうだろうと思う。
そこからがけの中腹の道をハイキングする。
このあたりは大昔は海だったようで化石が多いとのこと。
ガイドさんにそう教わって下を向いて歩いていたら
貝がらのあとのついた石をみごとにゲットした。
1時間いって1時間戻って山の上のレストランでお昼を食べ、
また車で下りて行く。
今度はミスファット・アル・アブリーンという名の村に行く。
ここは数百年前から変わらずある村だそう。
欧米の観光団体も大勢来ているから
日本で言うと白川郷や妻籠宿のようなものかも。
ずいぶん高いところにあるのに村が成り立っているのは
もちろん水があるからで
中に水路があって水がいきおいよく流れている。
道横にはナツメヤシをはじめバナナ、パパイヤ、マンゴーなどが茂っている。
水があると木があって日陰ができる。
おかげで日陰の下を歩ける。
それがこんなにありがたいとは気づかなかった。
夕方、ホテルに戻る。
食後は川端さんと絵本の話などしながら眠りにつく。
いつもながら川端さんの絵本についてのうんちくが楽しい。