クラクフ

クラクフはポーランドの古都。
ワルシャワに首都が移る前はここが首都で
第二次大戦の時もワルシャワはワルシャワ蜂起で
めちゃくちゃにされたけれど、ここは爆撃をまぬがれ、
古い建物がそのまま残っている。
ちょっと東京と京都の関係に似ている。

午前中はかって王様がいたバベル城に行き、
そのあと国立美術館へ。
ここの目玉は一枚の絵しかない。
ただ、それが超大物で
その一枚だけが明かりを落とした別室に
左右にガードマンを従えて飾ってある。
レオナルドダビィンチの「白貂を抱く貴婦人」。
フリーの時間は20分ということで
みんなはものの2分でよそに行ってしまったけれど
ぼくはこれ一枚で十分。
暗がりで1人で20分、
細部を意識的に見たり、ただボーッと見たり、
絵との対面を独占できた。

お昼は旧市街の中心のマーケット広場へ。
ヨーロッパは街の真ん中が広場になっているのが
いつもながらうらやましい。
民芸品の店がずらり。ポーランドは琥珀が名物だそうで
アクセサリーの店も並ぶ。

広場の一角には高い塔があり、定時に塔の上の窓が開いて
係の人が時報をラッパで告げる。
ところがそれがメロディーの途中でちぎれるように終わる。
 これはかってここの町が敵に攻められたとき、
 敵が来たことを町の人に知らせるために、見張りがここから
ラッパを吹いた。
 ところがそのラッパ手ののどに敵の矢がささり、ラッパ手は途中で息絶えた。
という故事にのっとって、今も一時間ごとに生で吹かれているとのこと。
 というわけで定時が近づくと広場には、それを待つ観光客が増える。
やがて塔の窓が開いて、ラッパの音が響き、ほんとにプツッと終わった。

昼食後はバスで30分ほどのヴィエリチカへ。
世界遺産の岩塩坑へ。
地元のガイドさんの案内でアリの巣のようになった
岩塩坑の中をてくてく2時間歩く。
 中には坑父が岩塩をくりぬいて作った地下礼拝堂やたくさんのモニュメントもあり、壮観。
ただ、クラクフに来る観光客は必ず訪れる場所だそうだが、
ぼくは「明日はアウシュビッツに行ける」ということの方で
すでに頭がてんぱっていて、ここはそぞろに歩いてしまった。

夜は岩城さんと二人でホテルの近くのショッピングセンターまで歩く。
いつものように、おもちゃ屋さんをさがして入る。