呉の町も豪雨でずいぶん被害が出た。
呉は去年行った。
呉を舞台にしたアニメ映画の「この世界の片隅に」がヒットしたあとだったので
その舞台の場所を尋ねて歩いている人もいた。
確かにアニメと同じ住宅風景があった。
 山が後ろからせまって海沿いの平地を三方からとりかこんでいる地形で
町のはずれは山に向かう急な斜面にはりつく形になる。
土砂崩れもありそうだ。
呉からよそへ行くには海沿いの道をくねくね行くしかない。
その道が崩れたら孤立する。
で、そうなってしまった。
 
去年の呉では軍港内を遊覧船で巡るミニツアーに参加した。
潜水艦だの巡洋艦だのがとまっていて、
自衛隊のOBのおじいさんがマイクで
「あの船は対ミサイル迎撃機能がついている新型です」とか説明してくれた。
 ちようど日が沈むころでラッパ手が吹くラッパに合わせて
ビルのような駆逐艦の艦橋で、かかげた日の丸をとりこむセレモニーをやっていた。
 手を振ると若い自衛官が手をふりかえしてくれた。
国を守ることを仕事とした人たちが働く様子を
守られる側が大勢で観光として見るわけで、奇妙な距離感があって
おもはゆかった。
 だが、それはそれとして、国防でもなんでも
やはり直接見るものだと思った。
 具体的にイメージできる。
 
太平洋戦争で死んだ人は厚生省発表で310万人となっている。
そのうち軍人に限ると230万人だ。
 その軍人の死に方を調べていくと、戦死よりも餓死・病死の方が多くてやりきれないが、
もうひとつ、海没死が異様に多いのもつらい。
 戦地に向かう途中で潜水艦などに沈められて溺死した兵が
最大40万人近いという推定もある。
 護衛なしで敵水域を航行させた上部の無責任な判断のせいというしかないが、
夜の海に投げ出される一人一人の無念と恐怖に思いをはせるとたまらなくなる。

 で、そういう戦争のこわさと、兵は危険な任務についているという当たり前のことが
軍艦を直接見ると肌で感じられる。
桟橋沿いの戦艦大和ミュージアムとあわせて、このツアーは
呉に行った人にはおすすめ。
 豪雨被害の復興がすすみますように。