長野市立三本柳小学校

五時半起きして車で長野に向かう。
ふつうなら長野までは二時間で行くが
長野県北部に雪の予報が出ている。
場合によっては道路規制や速度規制があるし、
こわいのは事故での通行止めや渋滞だ。
案の定、安曇野からタイヤ規制があった。
ただし、多少道路が白い程度でなんの問題もなく
雪の山々を見ながら、ゆうゆう長野着。

三本柳小学校へ。
ここは初めておじゃまする。
ランチルームで2時間目に1,2年。
3時間目に3年。4時間目に4年。5時間目に5年。
6時間目に6年生。と計5回のものがたりライブ。
一回に120人くらいづつ。
もちろん、すべて話は変えていく。
おもしろがってもらえたと思う。

地元の新聞社の人が来てライブの様子を取材していく。
ときどきある。
その記者さんが校長先生に
「今回の企画のねらいはなんですか?」と尋ねた。
すると校長先生が苦笑しながら
「いや。楽しそうと思ったからお願いしただけで…」と答えた。
校長先生、肩の力の抜けたすてきな答え。
記者さんはおそらく「最近の子どもは読書量が減っているから」とか
「国語の授業の一環に」とか、もっともらしい答えが
かえってくると思っていたはずだ。
 でも、こういうことを一回やったからと言って、どうなるものでもない。
人はそんなに単純にできていない。
 たとえば親が子どもにお話を語る時、「これで子どもの読書量を云々」なんて
考えていない。
ただ、楽しい時間をともに作りたいだけで、そういう時間の積み重ねの中で
得るものがあれば、子どもが自分でいつのまにか得ていくはずなのだ。

 また、大人が子どもにすることになんでも「ねらい」なんてことを考えたら疲れる。
 もしかすると、そういう考え方におちいってしまったことに
学校が消耗してしまう理由があったのかもしれない。
 予定調和的な質問をした記者さんは肩透かしをくらった。
でも、そう訊かれたら、真顔できいたふうな理由をひねりだして答える先生はいるだろうなあ。

すべて終了してから長野の市内に出る。
相生座で「恐怖の報酬」を見る。
リメイクの方。
うわさでは聞いていたがやっと見られた。
高額の報酬につられて、ちょっと揺れただけで爆発するニトログリセリンをを
積んで走るポンコツトラックの話。
 ジャングルの倒木や崖沿いや吊り橋や強盗や、まあ、次々とアクシデントが来る。

以前、ネパールでそんな山沿いの道を走ってこわい思いをしたのを思い出す。
未舗装のでこぼこ道で泥が深く坂をあがれなかった。
左ははるか下までの崖。
ぼくら客は少しでも軽くするために全員おろされ、
バスはひきかえして勢いをつけて「それー「と駆け上がる。
何回めかで成功した時はほんとによかったと思った。
でも、ネパールの人にはそれは日常のことのようで
運転手も顔色一つ変えなかった。

終って夜の9時。
小淵沢に着いたのは11時になった。